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子どもが落ち込んだり、自己嫌悪に陥ったとき、「そんなことないよ」「次は頑張ろう」と語りかけたくなる気持ちはよくわかります。しかし、これらの言葉が子どもの心に響くことはほとんどなく、逆に親の「励まし」が、実は子どもを追い詰めている可能性もあるのです。
そう聞くと驚かれるかもしれませんが、筆者はこれまで38年間、教育現場で子どもと関わり、延べ数万人の保護者から相談を受けてきました。その中で何度も見てきたのは、「子どもを何とか前向きにさせたい」という親の愛情が、皮肉にも逆方向に作用してしまっている現実だったのです。
ですから、ご相談者さんの「言えば言うほど気持ちを閉ざしてしまう」という直感は正しいと言えます。いったい、なぜそうなるのか。結論から言えば、親の励ましは、子どもにとって「自分の気持ちの上書き」に他ならないからです。
「そんなことないよ」は、親による"物語の強奪"
小学5年生は、自分を客観的に見る力が育つ「10歳の壁(9歳の壁)」を越えたあたりにいます。自分の限界や周囲との違いに気づきやすく、心が揺れ動く繊細な時期です。

