感情を受け止めてもらうと、子どもの心に余裕が生まれます。そこで、視点を広げる問いかけをさりげなく投げます。
「今日は一日、嫌なことしかなかった?」
「少しでもホッとできた時間はあった?」
「本当は、どうなったら一番嬉しかったのかな?」
すると子どもは、自分から話し始めます。「遊びに入れなかったのは嫌だったけど、帰りは〇〇君と少し話せた」「本当は、自分から『入れて』って言いたかった」と。
「自分は嫌われている」という単色の物語から、別の色の物語が、子ども自身の口から出てくる。この瞬間が決定的に重要です。
なぜ、親が「違うよ」と言っても物語は変わらないのか
親から「違うよ、好かれているよ」と与えられたのでは、物語は絶対に書き換わりません。子どもの内面で語られている物語は、子ども自身だけが書き直せるものだからです。
自分で気づいたときにだけ、物語は本当の意味で変わる。これが、自律的に自己を育てる力の正体なのです。
今夜、子どもが「どうせ僕なんて……」と言ったら、「そんなことないよ」を飲み込んで、こう聞いてみてください。
「そのとき、どんな気持ちだった?」
このたった一つの問いかけが、子どもの人生の物語を書き換える、最初の一行になります。

