ご相談を読んで、「頭がよくて羨ましい」と思う親御さんもいらっしゃるかもしれません。しかし、この保護者の方が抱いている不安は、子育てにおいてとても本質的なものです。38年間、教育や経営の現場で数え切れないほどの「優秀な人材」を見てきましたが、同じ「頭のいい人」でも、社会に出てから大きな成果を出す人と、孤立してしまう人がはっきりと分かれます。どちらに育つかは、小学生のうちからの関わり方で大きく変えることができます。今回は、このご家庭で今できる具体的な関わり方をお伝えします。
「頭のよさ」には2つのタイプがある
まず押さえておきたいのは、「頭のいい人」には2つのタイプがあるということです。
ひとつは、自分の正しさを証明するために頭を使う人。論理で相手を打ち負かし、「自分は正しい、相手が間違っている」と結論づけます。言っていることは正確ですが、職場では「正しいけれど、一緒に仕事はしたくない人」として敬遠されてしまいます。会議で相手の矛盾を鋭く突き、言い負かすことはできても、その後に誰も協力してくれない——そんな状況が繰り返されます。世間ではこうした人が"高偏差値バカ"などと揶揄されることもありますが、問題は頭のよさではなく、その使い方にあります。
もうひとつは、相手を理解し、課題を解決するために頭を使う人。同じように高い論理的思考力を持っていますが、その力を、人を動かしたり、誰かの困りごとを解決したりする方向に使います。自然と周囲の協力が集まり、一人では到底できない大きな仕事を成し遂げます。
ご相談者の息子さんは、現時点では前者の芽が出ている状態と言えるかもしれません。ただし、小6というタイミングは、まだ十分に後者へ育てていける時期です。思春期に入る直前のこの時期は、自我が急速に育つと同時に、親からの働きかけがまだ届く貴重な時期でもあります。不安になる必要はありません。

