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人が幸福になれるかどうかは遺伝? "トンデモ科学""差別"としてスルーされた説の信憑性が見直される科学の現在

10分で読める
脳波を見つめる科学者
人間は長年大きな勘違いをしてきたのかもしれない(写真:mrwed54/PIXTA)

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いつの時代も、パラダイムを転換するような画期的な理論は、すぐには受け入れられないものだ。
「人間は幸せになるために、日々よりよく生きようとする」――私たちはこの言葉を当然の真理として受け入れ、自己啓発書を手に取り、自分磨きに精を出す。
しかし、進化心理学者のソ・ウングクは著書『幸福についての世界でいちばん冷酷なお知らせ』の中で、その前提をあっさりと覆す。
「残念ながら、人は“幸福”のために生きているわけではない」
幸せとは人生の“目的”などではなく、単に“ヒトという動物が生き残るための手段”にすぎないのではないか――。
人間の行動を他の生物と同様に「進化論」で説明しようとするこのアプローチは、当初、アカデミアから激しい反発を受けた。「人間は他の生き物とは異なり、特別な価値のある人生を生きている」という強い自負があったからだ。
「そんなはずはない」と多くの人が拒否感を示す一方で、本書は韓国で長年にわたり圧倒的なベストセラーであり続けている。
日本版刊行にあたり、作家・橘玲氏が寄せた特別解説の全文をここに公開する。

“幸せ”についてスルーされ続けてきた「ある真実」

『幸福についての世界でいちばん冷酷なお知らせ: 進化心理学が教えてくれる“きれいごと抜き”の人生戦略』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

私は10年前に『言ってはいけない 残酷すぎる真実』(新潮新書)で、「ひとは幸福になるために生きているけれど、幸福になるようにデザインされているわけではない」と書いた。

ソ・ウングクさんはほぼ同じ時期に、「残念ながら、人は“幸福”のために生きていない」という内容の、本書の旧版を出した。「幸せは、生存するために必要な道具」なのだという。

2人の主張が似ているのは偶然ではない。どちらも進化心理学を土台に、幸福について考えているからだ。

ヒトは二足歩行だけでなく、体毛を失ったことや遅い思春期、長い寿命など、近縁種である霊長類や類人猿と比べても、かなり変わった解剖学的・生理学的特徴を持っている。それと同様に、脳という臓器もヒトが進化する過程で、緊密な社会集団の強い淘汰の圧力を受けながら特殊な仕様に「設計」されてきた。

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