本書でも強調されているように、外向的/内向的や神経症傾向のような性格はほぼ半分が遺伝の影響で、残りの半分は環境の影響ではあるものの、それには無数の要因があり、個人がコントロールすることはできない。幸福度は、自分の意志や努力とは(ほとんど)関係ないところで決まっているのだ。
それにもかかわらず、世の中には「努力によって幸福になれる(はずだ)」というアドバイスがあふれている。
ソさんは「そもそも幸せは“思考”ではないのに、考え方を変えようとしても効果はない」と述べているが、これは至言だろう。
わたしたちはみな、持って生まれた幸福度の中で生きていくしかないのだ。
私たちが背負う運命
日本や韓国は1人当たりGDPでメキシコ、コロンビア、ブラジルなど中南米の国よりはるかに豊かだが、さまざまな国際調査で一貫して幸福度が低い。
温暖で湿度の高い東アジアは稲作に適しており、多くの農民が村に集住する集団主義の文化が発達した。協調性が重視されるムラ社会では、他者の視線を気にし、恥に敏感で、つねに空気を読むようになった。これが幸福を感じにくくさせているという説には説得力がある。
それに対して麦作や牧畜では人口密度が低く、個人主義の文化が育った。世界幸福度ランキング(2026年)ではフィンランド、アイスランド、デンマークなど北欧諸国が上位に並んでいるが、これは所得水準が高いというよりも、個人主義の文化が理由だとされる。

