だが私は、自分が内向的だということもあって、この定義には疑問を感じていた。
1つは、幸福研究の多くがアンケート形式で、客観的に幸福かどうかわからないこと。
外向的だと「自分は幸福だ」と報告しやすく、内向的だと自分の幸福をあまり報告しないのかもしれない(これは「自己報告バイアス」と呼ばれる)。
だがより重要なのは、外向的/内向的と覚醒度の関係がわかってきたことだ。
世の中の役に立たないアドバイス
近年の研究によると、ひとにはそれぞれ最適な覚醒度がある。
外向的なひとはデフォルトの覚醒度がそれよりも低いので、無意識に覚醒度を上げようとする。たくさんのひとが集まる華やかなパーティ、レーザービームと大音響のフェスやクラブ、危険なスポーツやギャンブル、政治家や芸能人などの目立つ職業を好むのはそのためだ。
それに対して内向的だと、デフォルトの覚醒度が最適な覚醒度よりも高いため、無意識にそれを下げようとする。こうして、静かな図書館やカフェで本を読んだり、親しい友人と長く語らったり、1人の時間を好んだりするようになる。
ポジティブ感情を「覚醒度を引き上げようとするときに生じる高揚感」とすれば、外向的なほうが幸福度が高くなるのは当然だ。
これは一種のトートロジー(同義語反復)で、「穏やかな安心感」のような別の定義を使えば、内向的なほうが幸福度が高くなるかもしれない。
近年の幸福研究では、外向的/内向的よりも、神経症傾向と幸福度の関係が注目されている。
神経症傾向が高いと不安感が強く、ネガティブ感情を持ちやすく、うつ病の予測因子になる。うつのひとの幸福度は明らかに低いだろうから、こちらのほうがより直接的だ。

