他の会社と違ってアップルは『個人情報の万全な保護』と『温室効果ガスを増やさないAI』を構築しなければならなかった。
これは非常に困難な技術的チャレンジだったと思われる。最初に打ち上げたApple Intelligenceの構想から公開までに2年半を必要とするのもやむを得ないといえる。そして、現在のOS 27シリーズのベータ版を使う限りでは、このチャレンジは達成されたようだ。
オンデバイス処理と、厳選データのクラウド処理
これらふたつの課題を解決する方法が、Apple Intelligenceが推し進めた『オンデバイスAI』と『Private Cloud Compute』の活用だ。
アップル製品には以前から、Neural Engineを持ちAI機能を強化したチップセットであるApple Siliconが搭載されている。たとえば、iPhone 17 Proに搭載されるA19 Proや、MacBook Airに搭載されるM5がそれだ。2017年に発売されたiPhone XからNeural Engineは搭載されているのだから、アップルは、今後機械学習処理が重要になるということは理解していたのだ。
そして、この秋に公開されるOS 27シリーズに向けて、アップルは以前から開発していたApple Foundation Models(以下、AFM)とGoogle Gemini Modelsを組み合わせて第3世代のAFMを開発している。この第3世代のモデル群には、オンデバイスで動作する『AFM Core』や『AFM Core Advanced』、およびPrivate Cloud Computeで動作する『AFM Cloud』『AFM Cloud Pro』『ADM(Apple Diffusion Model) Cloud Image』が含まれる。
OS 27シリーズでは、Apple Intelligenceを使った時にシステムオーケストレータがこの中で最適なモデルを選んで活用する仕組みになっている。つまり、オンデバイスで処理できる問題であればオンデバイスAIが選択される。
「もっともパワフルなオンデバイス対応」のモデルでのみ使えるAFM Core Advancedは、なんと200億パラメータを実現しており、小~中規模のクラウドAIなみのパフォーマンスを持つ。
つまり、アップルは『データをデバイスの外に出さず』『大規模データセンターを必要とせず』ある程度のAI処理をデバイス内で完結させることに成功したのだ。

