筆者は、AIで増大する電力について質問した。その時に彼女たちは「Apple Intelligenceがオンデバイスで動作することは非常に重要」「アップルデバイスがAIを使うことによって発生する消費電力については、『Apple 2030』に折り込み済みだ」と語った。
『Apple 2030』とはアップルの地球温暖化対策に関する目標で、2030年までにサプライヤーも含めて、アップルの企業活動におけるカーボンフットプリントをネットゼロにするというもの。分かりやすく言えば、アップルの企業活動では地球上の温室効果ガスを増やさないようにするという目標だ。
ご存じのように、アップルの社屋にはソーラーパネルが設けられ、サプライヤー企業にも太陽光発電や風力発電のクリーンエネルギーの利用が推奨されている。アルミニウムをはじめとしてデバイスに使用する素材にも再生素材が使われ、天然素材の精練に膨大なエネルギーを使うことを回避している。2025年には、すべての製品のパッケージが紙を中心として再生可能素材で作られるようになり、輸送時の炭素排出を防ぐためにパッケージも極力小さめにデザインされている。それでも足りない分に関しては、植林、環境保全プロジェクトに出資するなどして、排出権を購入している。iPhoneケースやApple Watchのベルトからリアルレザーを一気に廃したのは、牛の出すメタンガスが温室効果ガスとして影響が大きいからだろう。
各国の足並みは揃わず、生成AIは膨大な温室効果ガスを生み出し続けている
パリ協定に賛同しているヨーロッパや日本は2050年までにネットゼロとすることを目標としているが、中国は2060年、アメリカの現政権に至ってはパリ協定を脱退してしまっている。
各国が、少なくとも24年以上先に達成しようとしている高い目標を、アップルは会社単体としてはすでに達成しており、2030年までにはパートナー企業も含めてネットゼロを実現しようとしている。アップルは温室効果ガス排出削減に関して、他社の目標、ノウハウを提供できる企業になろうとしているのだ。
ご存じのように、生成AIは、手順に沿って計算する従来の演算と違って、網の目のように繰り広げた大量の計算を同時並行で行う。したがって、ユーザーがごく簡単なやりとり……と思っているような質問にも強力な演算能力を持つGPUを使って大量の演算を行う必要が発生する。

