レアアースを製錬する際の外部不経済の内部化について述べてきた。外部不経済とは、「公害」だと考えればわかりやすい。
公害の対応に責任があるのは利益を受けるもの、つまり生産者と消費者の両者である。マレーシアでレアアース製錬を行うオーストラリア・ライナス社の主要な消費者は日本である。ここに新たな消費者が加わってきたら、どうだろうか。その消費者もレアアース製錬に伴う外部不経済に責任を負うこととなる。
外部不経済の内部化は無用物として隔離するか、有価物として活用するかのいずれかだが、新たな参加者が喜んで有価物としての活用による内部化に取り組んだとしたらどうなるだろうか。
2026年7月7日、「レアアース大手ライナスは、韓国の磁石製造JSリンクと組み、マレーシアで高性能磁石工場を建設する。磁石材料となるレアアースを38年1月までJSリンクに供給する」と『日本経済新聞』が報じた。
レアアース大手が韓国企業と手を組んだ理由
この記事はレアアースの消費者の側面についてしか伝えていない。レアアース製錬に伴う外部不経済であるトリウムの内部化をJSリンクが行うのか、行うとしてその方法がどのようなものであるかは触れられていない。しかし、外部不経済がトリウムであることが明確なレアアースの問題について、韓国の動向を追うことは日本の取るべき道を探るためにも、決して無意味ではない。
11年に東京電力福島第一原発事故が起こるまで、トリウムやその利用方法としての溶融塩炉について、韓国からはほとんど話を聞くことはなかった。前年10年5月にアメリカ・ピッツバーグにて、原子力の国際会議「Physor2010」が開催された。この会議が画期的だったのは、トリウムを大々的に取り上げたことだ。
それまでトリウムが独立したセッションとして開催されたことはなかった。マイクロソフトの共同経営者であるビル・ゲイツ氏が出資し、今では溶融塩炉を開発しているテラパワーからもケヴァン・ウィーバー(Kevan Weaver)氏が来ていた。
その当時はナトリウム冷却高速炉の一種である「進行波炉」に取り組んでいたが、彼に「トリウムも考えているのか」と聞くと、その答えは「オフ・コース」(もちろんだ)。興味深いのは、次世代の溶融塩炉に関する報告がスウェーデン、オランダそして日本(筆者)と最も多く取り上げられていた点だ。
筆者は溶融塩炉を用いてトリウムを利用した場合の設備容量の導入予測規模について講演した。トリウムはそれ自身だけでは核燃料とならないが、使用済み核燃料から得られるプルトニウムを活用すれば2050年に300~400ギガワット程度となること、解体核のプルトニウムを活用すればさらに10ギガワット程度追加できることを示した。
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