本当にやりたいことに向かって動いていると、目先の見返りを求めなくなる瞬間があります。
それは、無欲になるということではありません。自分がやっていることの先に、もっと大きな景色が見えているからです。
見返りを求めない投資
僕にとって祭りは、街への投資です。
お金の投資だけではありません。時間の投資であり、気持ちの投資であり、信頼への投資です。すぐに回収できるものではありませんが、続けていくうちに、少しずつ街の空気が変わっていくのを感じます。
最初はお客さんとして来ていた人が、次の年には誰かを連れて来てくれる。遠くから来たファンの方が、笠間のお店に立ち寄ってくれる。地元の人が、「今年もあの季節が来たね」と楽しみにしてくれる。
こうした変化は、派手ではありません。
でも、僕にとってはものすごく大きな成果です。
仕事でも同じだと思います。すぐに売上につながる仕事も大切です。でも、すぐに利益にはならなくても、信頼を積み重ねる仕事、人との関係を育てる仕事、未来の可能性を広げる仕事もあります。
それを「儲からないから意味がない」と切り捨ててしまうと、本当に大切なものを失ってしまうことがある。
僕はそう思っています。
もちろん、続けるためには現実も見なければいけません。予算も必要ですし、人手も必要ですし、安全に開催するための責任もあります。だからこそ、ただ情熱だけで突っ走るのではなく、どうすれば続けられるかを考え続ける必要があります。
でも、最初の火種になるのは、やっぱり心です。
心が動かないものは続きません。心が動いているから、面倒なことも乗り越えられる。大変な準備にも向き合える。終わったあとに疲れ切っていても、「またやりたい」と思える。
僕は本の中で、「迷ったら心で動け、すぐ動け」と書きました。
祭りを続ける理由も、そこにあります。
頭で損得を考えたら、やめたほうが楽かもしれません。でも、心が「やりたい」と言っている。もっとこの街を面白くしたい。子どもたちに、地元にもこんなに楽しい場所があるんだと思ってほしい。関わってくれた人たちに、「今年もやってよかった」と感じてほしい。
その気持ちがある限り、僕は続けると思います。
祭りは一日で終わります。
でも、その一日が誰かの記憶に残り、街への愛着になり、次の挑戦の入口になることがあります。
だから僕は、祭りが終わったあとも、もう次の祭りのことを考えています。
「儲かるの?」と聞かれたら、こう答えるかもしれません。
すぐにお金として返ってくるものではないかもしれない。でも、人の笑顔や信頼や未来の可能性として、必ず返ってくる。
僕にとって、それはお金以上に大きなリターンです。
そして、そのリターンを信じられるからこそ、今年もまた、次の挑戦に向かって動き出せるのです。

