こうした資産分布の偏りの中で、注目されているのが「老後資金」の目安だ。かつて、老後資金は1世帯2000万円と言われた時代があったが、いまや4000万円必要だと主張する「老後資金4000万円必要説」も広く知られるようになった。
こうした貧富の格差や、インフレによる貨幣価値の目減りなども含めて、日本の格差社会の現実と未来を検証してみよう。
日本人の貯蓄はどれぐらいあるのか
日本の格差の実態を考えるデータとしては、やはり総務省の家計調査がわかりやすい。ただし、「約7世帯に1世帯は貯蓄4000万円以上」というデータは、正確に言えば、単身世帯を除く「二人以上世帯」の数字だ。
ただ、貯蓄額の統計資料というのは、データによって大きく異なるのも事実だ。家計調査以外のデータもチェックする必要がある。さらに、貯蓄額を見るときには、「平均値」と「中央値」の両方を見ることも大切だ。
たとえば、金融広報中央委員会の2023年「家計の金融行動に関する世論調査」のデータを見ると、その違いがよくわかる。
二人以上世帯の平均金融資産保有額(カッコ内は中央値)
- 20代……249万円(30万円)
- 30代……601万円(150万円)
- 40代……889万円(220万円)
- 50代……1147万円(300万円)
単身世帯の平均金融資産保有額(カッコ内は中央値)
- 20代……121万円(9万円)
- 30代……594万円(100万円)
- 40代……559万円(47万円)
- 50代……1391万円(80万円)
単身世帯の中央値を見ると、20代は9万円、30代は100万円、40代は47万円、50代は80万円となっている。二人以上世帯のおよそ7世帯に1世帯が貯蓄4000万円以上であるかと思えば、単身世帯では、20〜50代の各年代で金融資産保有額の中央値が100万円以下となっている。

