こうしたスタッフを大切にする姿勢は、働き手にも伝わっている。なんと源次郎では、アルバイトとして働き始めてからわずか1カ月で正社員登用の面接を受け、内定した学生がいるという。
正社員登用が決まった学生は、「働いてみて楽しかったから、入社しちゃいました」と話していたそうだ。
「スタッフ自身が楽しめなければ、お客様に楽しんでもらえるわけがないですから」
なお、同社にはアルバイトでも副店長や店長に昇格でき、社員として入社後、役職や給与水準をそのまま引き継げる制度がある。意欲あるスタッフが挑戦できる環境も存分に整っている。
100店舗以上展開へのカギは“差別化の積み重ね”
今後はチェーン展開を進め、郊外のロードサイドを中心にまずは100店舗を目指す。一方で、駅近郊の商業施設への出店は当面考えていない。駅周辺に出店した場合、客層が近隣の会社員に偏り、幅広い層への周知が難しい懸念があるからだ。まずはロードサイドで認知度を高め、ある程度ブランドが浸透した段階で、駅近への出店を検討していく。
チェーン展開に向けて課題となるのが、店舗数を増やしてもサービスの質を落とさないオペレーションの構築だ。
店内や厨房のレイアウト、設備の規模が適正でなければ動線に無駄が生じ、調理、提供の効率が下がりかねない。廣瀬さんは「1号店で見えてきた課題を改善したうえで、2号店以降の出店につなげたい」と語った。
メニュー面にも検討すべき課題が残る。今後、メニューにバリエーションを持たせるとしたら、既存のオペレーションを崩さずどこまで品数を増やせるか。あるいは、季節ごとに一部のメニューを入れ替えるなど、なにかしらの変化を加えられるか。こういった工夫も、客に継続的に足を運んでもらうためのポイントになると廣瀬さんは指摘した。
もちろん今後も、フルサービスは継続していく。これは筆者もレポ記事で綴ったことだが、源次郎のオープン以来、来店客からは「フルサービスって、こんなにも良いものだっけ」といった感想が相次いでいるという。
タッチパネルによる注文や配膳ロボットが普及する中、スタッフが直接出迎え、対面で注文を聞く。人の温もりを感じさせる接客の価値が、改めて見直されているのだろう。
「来店していただける理由をいくつも作らなければ、『デリバリーでいい』『スーパーで買えばいい』となってしまいます。わざわざ足を運んでいただく価値を、どこまで高められるか。その一つひとつの積み重ねが、強い差別化になると考えています」

