「路面電車」という単語を聞いて、思い浮かべるものは人それぞれだろう。昭和世代には、路面電車といえば過去の遺物、消えゆく交通機関……のように思う人も多いのではないだろうか。発車時に鐘を鳴らすことから、「チンチン電車」などとも呼ばれた。
実際、モータリゼーションの影響を大きく受けたことで、戦後から20世紀後半にかけては路面電車にとっては斜陽の時代だった。日本では東京都電のほとんどが廃止され、京都や福岡、仙台といった都市からも姿を消した。
「次世代の乗り物」でも旧型が活躍
これは海外でも同じだ。「トラム」と呼ばれて親しまれ、現在も多くの路面電車が生き残っているヨーロッパでもモータリゼーションの影響は避けられず、全盛期だった20世紀中盤までと比較すると、各都市の路線網は明らかに縮小された。現在、人口100万人を超える都市の多くは、地下鉄が主要な公共交通機関となっている。
一方で中小規模の都市では、トラムを存続させている都市が多い。地下鉄よりも建設や維持管理がしやすいことやバリアフリーの観点から20世紀末にはトラムが見直され、積極的に延伸を進める都市も増えた。中には、廃止から一転して路線拡張に転じた都市もある。次世代の乗り物として、トラムは新たな一歩を踏み出している。

