地元チェコの首都プラハでも、車体や制御装置を更新しながら、まだ多くのタトラT3型シリーズが運行されている。中には車体中央部分だけを低床化した更新車もおり、当面は運用を続ける予定だ。ただ、近年は新型のエアコン付き低床車が導入されており、ステップのある高床車は順次置き換えが進むものとみられる。
一方でプラハは、トラムを観光資源としても活用しており、タトラT3型以外にも数多くの旧型車両が動態保存され、市内を巡る観光路線で使用されている。もともとプラハで使われていた車両だけではなく、ほかの都市で用済みになった車両も譲り受けており、まさに「動く博物館」のようになっている。
西ドイツが生んだ高性能車両
トラムを語る上で外すことのできない老舗メーカーと言えば、ドイツの「デュヴァグ(Duewag)」がある。デュヴァグは、トラムの高性能・近代化の先鞭をつけた存在として知られる旧西ドイツのメーカーだ。
同社は1999年にシーメンスへ吸収合併され、その名は消えてしまったが、元をたどれば19世紀に設立された老舗メーカー「ユルディンゲン車両工場」が起源で、合併によって1981年に略称だったデュヴァグの名が正式社名となった。戦後に西ドイツ国内で導入されたトラム車両の大半を同社製車両が占めるなど、ドイツのトラムの代名詞的な存在として知られ、他社でライセンス生産も行われた。
デュヴァグが1950年代から60年代にかけて開発した新型のボギー車や連接車は、自家用車すらも凌駕すると言われた超高加減速性能を備えるなど、「自動車交通の邪魔になる厄介者」として扱われていたトラムの負のイメージを一新し、近年の低床車が誕生するまでの主力として各地で活躍した。

