古い車両の場合、車体や電機品などが更新され、オリジナルの状態とは全く異なる姿になっていることも多いが、ヴェントットは内外装も電機品もほぼ原形の状態を維持しており、ニス塗りの木製ロングシートや白熱球の室内灯(近年は白熱球の生産終了で電球タイプのLED照明を使用)などが目を引く。
バリアフリーに対応できない点や車両そのものの寿命という点からも、いつかは置き換えられる日が来るかもしれないが、ミラノを象徴する車両としてしばらくは使い続けられることだろう。
レトロ車両の温もり
ミラノには、ヴェントット以外にも「スタンガ」と呼ばれる、1950~60年代に製造された2両連接のトラムも現役で使用されている。だが、こちらは新型低床車の投入によって数を減らしつつあり、ヴェントットよりも先に姿を消すことになりそうだ。
ちなみにタトラT3型とヴェントットは、かつて高知県の土佐電気鉄道(現・とさでん交通)が路面電車の話題作りを目的として導入を目指し、実際に四国まで持ち込まれたが、営業運転に使用されることなく解体されてしまったことは残念でならない。
快適性や性能面では新車にかなうはずもないが、どこかに温もりを感じる古い車両たち。いつか訪れるであろう世代交代の時まで、元気に活躍してほしいと願うばかりだ。

