がんは国民病だ。男性の約60%、女性の約50%が、生涯に1度はがんと診断される。
2024年の厚生労働省の人口動態統計によると、日本では年間約160万人が死亡しているが、このうちがんによる死亡が約38万人(約24%)を占める。1981年以降、日本人の死因の第1位であり、2位の心疾患(約15%)、3位の老衰(約13%)を大きく上回る。
どのような人ががんになりやすいか、つまり、リスクファクターについては、これまでの研究でかなり明らかになっている。そして家族歴や喫煙、ある種のウイルスのほかに注目されているリスクが「肥満」であることをご存じだろうか。
筆者は外来で診療する際、必ず家族歴を確認し、家族にがん患者がいる人には定期的ながん検診を勧めているが、加えて、生活習慣の改善、なかでも肥満対策が大事であることを伝えている。
肥満でがんになる仕組み
ではなぜ肥満はがんのリスクを高めるのか。その仕組みはこうだ。
肥満になると、脂肪細胞から炎症を引き起こす物質やホルモンが過剰に分泌され、細胞が傷つきやすくなる。その結果、異常な細胞が増え、がんが発生しやすい環境がつくられると考えられている。
近年は、肥満を改善することで、がんのリスクを下げられる可能性を示す研究が相次いでいる。

