一方で、この研究では代謝異常がなくても、肥満によって複数のがんのリスクが高まることも示された。つまり「健康診断の数値に異常がないから、太っていても問題ない」とは言えないのだ。
肥満と一口に言っても、その状態は人によって異なる。今後研究が進めば、減量目標や治療法も、1人ひとりの体質や合併症に応じて個別化されていくだろう。
肥満期間が長いほどリスク
代謝異常と並んで注意すべきなのが、肥満が始まった年齢と期間である。2023年6月30日、『Nature Communications』にスペインと世界保健機関(WHO)、国際がん研究機関などの研究者による研究が掲載された。
この研究では、スペイン・カタルーニャ州の40歳以上の264万5885人を9年間追跡し、22万5396人のがん発症を解析した。18~40歳のBMIの推移を電子カルテの情報から推定したところ、BMI25以上の期間が10年延びるごとに、子宮体がんのリスクは46%、肝臓がんは4%高くなっていた。
つまり、現在の体重だけでなく、「いつから太り始めたか」「どのくらい太った状態が続いているか」も、将来のがんリスクに関係する可能性があるというわけだ。
この研究では、肥満の状態が10年長く続くと、子宮体がんのリスクは平均46%、肝臓がんは4%高くなった。仮に、20代から過体重が続く人と、50代になってから体重が増えた人との間に30年の差があるとすれば、単純計算では、20代から過体重の人の子宮体がんのリスクは約3.1倍、肝臓がんは約1.12倍と推計される。
こうした研究の多くは欧米で行われているが、日本人でも同じことが言えるのだろうか。

