この疑問に答えたのが、2021年12月に『Journal of Atherosclerosis and Thrombosis』に掲載されたJACC研究である。名古屋大学や北海道大学、大阪大学などの研究グループが、全国の40~79歳の日本人10万2535人を19.2年間追跡した。
その結果、女性ではBMI21~22.9を基準とすると、BMI25~27.4で肥満関連がんによる死亡リスクは25%、BMI27.5以上では48%高かった。一方、男性全体では明確な関連は認められなかったが、40~64歳ではBMI27.5以上でリスク上昇がみられた。
この研究は、日本人でも肥満ががんリスクと関係することを示している。欧米人よりBMIが低くても健康影響が現れやすいことは糖尿病や高血圧などでも知られており、日本でBMI25以上を肥満と定義して対策を進めることには十分な根拠がある。
やせればがんリスクは減る?
このような研究から、肥満ががんの発症に関係することは、すでに医学的コンセンサスとなっている。では、肥満を治療すれば、がんをどの程度予防できるのだろうか。その代表的な研究が、2009年に『The Lancet Oncology』に掲載されたスウェーデン肥満者研究(SOS研究)である。
ヨーテボリ大学などの研究グループは、高度肥満(男性BMI34以上、女性BMI38以上)の4047人を対象に、胃を小さくするなどの減量手術を受けた2010人と、通常の運動・食事治療を受けた2037人を10.9年間追跡した。
その結果、手術群では約20kgの減量が長期間維持され、がんの発症リスクは通常治療群より33%低かった。女性では42%低下した一方、男性では明確な差を認めなかった。
この研究は、意図的に大幅な減量を行うことが、がん発症の減少につながる可能性を前向きに示した先駆的研究として高く評価されている。その後も、ほかの研究から同様の結果が報告されており、高度肥満者では、減量手術が肥満関連がんの発症低下と関連することは、広く支持されている。

