有料会員登録 東洋経済オンラインとは
ライフ

心臓病や脳卒中だけじゃなかった…「肥満」はがんリスクも高める "危ない肥り方"や"減量で予防可能"か、医師が解説

10分で読める
肥満とがんリスク
肥満は心臓病や脳卒中のリスクだけじゃありませんでした(写真:Luce/PIXTA)
  • 上 昌広 医療ガバナンス研究所理事長
2/6 PAGES
3/6 PAGES
4/6 PAGES
5/6 PAGES

ただ、減量手術は適応が高度肥満者などに限られる治療である。食事と運動による通常の減量では、がんをどの程度予防できるのだろうか。

この点について数少ない研究の1つが、2020年に『Obesity』に掲載されたLook AHEAD試験の解析である。アメリカ16施設で、2型糖尿病がある過体重・肥満患者4859人を、食事と運動を中心とする集中的な生活習慣改善群と、通常の糖尿病教育群に無作為に分け、11年間追跡した。

生活習慣改善群では、開始1年後に平均7~8%の減量が得られた。肥満関連がんの発症リスクは通常教育群より16%低かったが、統計学的な有意差はなかった。全がんの発症やがん死亡にも、明確な差は認められなかった。

その一方で、試験開始後の最初の4年間までに体重を10%以上減らした人では、肥満関連がんの発症リスクが約31%低い傾向がみられた。

これは無作為化した群同士の比較ではなく、実際に減量できた人についてあとから比較した解析である。減量に成功した人は、食事や運動以外の点でも健康的だった可能性があり、減量そのものの効果とは断定できない。それでも、この研究は食事と運動による十分な減量が、がん予防につながる可能性を示した点で重要である。

「GLP-1薬」でがん予防は?

では、話題のGLP-1受容体作動薬による減量では、どの程度のがん予防効果が期待できるのだろうか。これについても、有望な研究が相次いでいる。

代表例の1つが、2025年のアメリカ臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表された研究である。ニューヨーク大学とジョンズ・ホプキンス大学などの研究グループは、アメリカ43医療機関の電子カルテを用い、2型糖尿病と肥満のある成人を解析した。

対象とした肥満関連がんは、髄膜腫、多発性骨髄腫、食道がん、甲状腺がん、乳がん、胆嚢がん、胃がん、肝臓がん、膵臓がん、腎臓がん、卵巣がん、子宮がん、結腸がん、直腸がんの14種類である。

6/6 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数