「今日はこんなことがあった」、「少し疲れたけれど、これだけはやり遂げた」といった報告だけで十分です。話の内容よりも、「話すという行為」そのものに価値があります。
「さんざんな日」の上書き法
日本人には家族に心配をかけないために、「仕事の話は家でしない」という美徳のようなものが存在します。しかし、この気遣いが仇となり、多くの人が1日の出来事を言葉にせず、1人で抱え込んだまま眠りについています。
「疲れているから話す気になれない」と考えがちですが、実は話すことには疲れを和らげる効果があります。自分の状況を言葉にすると、脳内で回り続けていた思考が鎮まり、結果として疲労感を軽減させるのです。
誰かに話を聞いてもらう体験は、今日の自分を肯定することにつながります。話す相手がいない場合には、前述した「書く」という行為で代用できますし、ひとり言として自分自身に語りかけるだけでも、同様の効果を得られます。
アメリカの俳優であり、テレビ番組の司会者やプロデューサーも務めるオプラ・ウィンフリーは、こうした習慣を長年実践しています。彼女は日課として、朝目覚めた瞬間に「ありがとう」と唱え、夜寝る前にはその日感謝すべきことを5つ書き出しています。
彼女は、就寝前の数分間で行うこの作業を、「感謝ジャーナル」として推奨し、人生を好転させる最も大切な習慣であると公言しています。
「さんざんな日だった」という否定的な感情で1日を終える人と、「今日もありがたかった」という感謝で終える人とでは、翌朝の目覚めの質が異なります。感謝の対象を探す作業は、日常の中にある「良かったこと」を見つけ出す訓練にほかなりません。
それまで気づかなかった幸運や、自分を支えてくれている周囲の存在を再認識するプロセスが、明日へ向かうための前向きなエネルギーを生み出します。


