益田 自己機能は「自分とは何か」「自分のやりたいことは何か」が分かっているかどうかで評価されます。簡単にいうと、他人から言われてすぐ気持ちが変わる人は自己機能が低い、何を言われてもあまりブレない人は自己機能が高い、ということです。
他者機能は「他人の気持ちが分かる」「尊敬できる」「親密感を持てる」などが基軸になります。ポイントは、仲間や好きな人の気持ちだけではなく、嫌いな人や敵の気持ちもなんとなく理解できることですね。こういったパーソナリティ機能が低いと、人間社会の中で騙されやすいし、嫌な思いをするから生きづらいわけです。
パーソナリティ障害はA群、B群、C群の3つに分けられます。A群は妄想の強い人、非社交的な人、人間嫌いの人など、奇妙で風変わりなタイプ。B群は反社会性、自己愛性、演技性、境界性など、感情的で移り気なタイプ。C群は回避性、強迫性、依存性など、不安で内向的なタイプです。
特にB群の「境界性パーソナリティ障害」と呼ばれる人はAI依存になりやすい傾向があると感じています。
心に関する相談をAIに丸投げしてしまうのは怖い
山本 なぜですか?
益田 AIは裏切らないからです。例えば、私は「AIの言うことはちょっと物足りないな」「なんか薄っぺらいな」と感じることがあります。でも、パーソナリティ機能が弱く人間に対する理解度が低いと、AIの言うことに簡単に納得してハマってしまう。彼らにとって、AIは安心できる存在なんです。毎回言うことが同じだし、裏切らない。
常に自分を肯定してくれる。でもパーソナリティ機能が低い人たちは人間としての理解度が低く、そこで深い話ができなかったり、疑ったり違和感を感じたりしない。だからAIにハマっちゃうんですよね。これが結構大きな問題です。
パーソナリティ障害は、生涯有病率(一生の内にその病気にかかる確率)が約5%。学校のクラスの中にちょっと暴れ者や情緒不安定な人が2人くらいいる、くらいのイメージです。その状態で、学校の先生が「面倒くさいから、全部AIに相談してよ」と生徒に言ったり、親も「AIに話を聞いてもらってよ」と子どもに言い始めたりしたら、AI依存がより一層深まる可能性があります。

