だから、時間と人員をかけてイベントに注力する。スピード感を持って急拡大させるのではなく、じわっと段階的に。体制を整えつつ、しっかり準備する。確かな品質が客に伝われば、結果は後からついてくるという考えだ。
誰かのマネには価値を感じない
海外も国内も、無理に開拓しない。アメリカ、カナダ、台湾、シンガポール……要望に応じる形で少しずつ海外展開が広がってきた。海外の玩具アワードで、数々の賞も受賞した。
自ら売り込んでいるわけではない。それでも、問い合わせは自然と増える。商品のよさを丁寧に伝え、お客さんに体験してもらう。そこに時間と手間をかけ続ける。
長期の売上目標は立てない。なぜなら、遠い未来の大きな売上目標を設定するよりも、目の前の現実を大事にしているから。数字を追うより、まずは体験。足元の体制をじっくり時間をかけて整える。そうやって、少しずつ、だが確実に経営規模を拡大してきた。
「子ども達も、親御さんも、売り場も、保育園も、地域の方も、もちろん社員も。一番大事にしているのは、みんなが、ヨシリツに関わって良かったと思えること。本質を大切に、継続することが会社の繁栄につながると信じていますし、同時に実感もしています」(河部さん)
吉條さんのひらめきを試行錯誤して形に変え、LaQとして売れ始めるまでに10年の歳月を要した。1人で始めた会社はいまや151名の社員・パートを抱えるまでに成長した。本社の近くには、2〜3年に1棟のペースで社屋が増え続け、いまや「LaQ村」のようになっている。
「社長のひらめきは、大好きなお酒を飲みながらの食事の場で『降りてくる』そうです」(永井さん)
誰かのマネには価値を感じない。まだ世の中にない価値を自分たちの頭で考えて、創造する。それこそが、会社の存在意義だという。ヨシリツでは今のところ、業務にAIは使っていない。
「吉野で独立する」から「ヨシリツ」と名付け、創業して43年。いまや世界28カ国で人気の玩具メーカーは、今も変わらず自然豊かな奈良県吉野郡に本社を置く。


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