ファミリークローゼットは、平屋に住んでいたときの経験から採用したものだった。以前は各部屋にクローゼットがあり、洗濯物を畳んでから部屋ごとに配って歩く手間があった。1箇所に集約すれば、脱衣室で洗濯してそのまましまえる。長女はすでに家を出ていて、長男は「自分の服はすべて脱衣室にあっていい」というタイプだったこともあり、家事負担の軽減を図るためファミリークローゼットを選択した。
築古マンションという制約があるなかでのリノベーション
ただし、今回は平屋のように一から自由に設計できるわけではなかった。築約40年の築古マンションには、避けられない制約がいくつもあった。
最大の制約は、直床と配管の問題だった。最近のマンションは二重床で、床下に排水管を通すスペースが確保されている。しかし築古マンションは直床のため、水回りの配管を通そうとすると床を上げるしかないのだ。結果、その分の段差が生まれる。バリアフリーは実質的に不可能だった。
梁の問題もあった。廊下の天井に梁が通っており、換気扇のダクトをその下に通すと天井高が190cmほどまで下がってしまう。大塚さんが当初希望していた喫煙スペースの位置も、この梁のせいで断念せざるを得なかった。
キッチンの移動にも制約があった。パイプスペース(排水を流す縦管)の位置が固定されているため、シンクや洗濯機の位置はある程度決まってしまう。今流行りのアイランドキッチンのような大胆な配置は、構造的に無理だった。
「もし一から物件を選べるなら、もう少し築浅の二重床のマンションを買いたかったですね。そうすればもっと自由に設計できたと思います」
それでも大塚さんは、制約をネガティブには捉えなかった。
「制限があることが逆に楽しかったです。もう絶対に広くはできない、キッチンの場所も動かせない。でもそのなかでどうリノベーションするのかを考えるのは、本当に楽しかった」
間取りは「1人でああでもない、こうでもない」と1年以上考えた。大学で身につけた建築の基礎知識を生かし、60個を超える希望を詰め込んだ間取り図を自分で作成。リフォーム会社とともに"最高の間取り”完成に向けて突き進んだ。

