一方、東京の実家マンションにも変化があった。24歳で大塚さんが家を出たあと、180m²の部屋は2住戸に区切られ、片方を親戚に貸したり弟家族が住んだりして使われてきた。2023年ごろ、その弟家族が引っ越して部屋が空いた。築40年近い部屋は水回りや壁紙のリフォームこそしていたものの、約40年前とほぼ変わらぬ姿。そのまま賃貸に出せる状態ではなかったという。
新たに家を購入するのではなく、実家をリノベーションして住む。それは、大塚さんにとってきわめて合理的な選択だった。
「一生住むつもりで平屋を建てましたし、とても大事にしてきたので思い入れもありました。でも、どんな家に住んでもその家を大事にできる自信があるんです。私、家愛がハンパないので。リノベーションにはなりますが、2回目の家づくりが楽しみで仕方ありませんでした」
設備も間取りも古い築約40年の分譲マンション。さまざまな制約があるなかでのリノベーションとなるが、大塚さんには平屋を一から設計し、整理収納アドバイザーとして数多くの家に関わってきた経験がある。制約がある空間を自分に合わせて整える知識は、十分に備わっていた。
子ども時代に感じた不便が設計の基準になった
今回のリノベーションで、大塚さんが最初に決めた優先事項は5つある。通り玄関を来客用と家族用に分けること、トイレを2つ設置すること、夫の喫煙スペースを設けること、ファミリークローゼットをつくること、そして3LDKから2LDKに変更することだ。
このうち通り玄関と2つのトイレ、洗面・脱衣の分離は、すべて過去の住まいで感じた使いづらさから導き出されたものだ。トイレ2つは夫の唯一の希望でもあった。「年を取るとトイレの回数が増えるから、将来のためにも2つ必要」というアドバイスもあったそうで、実際に遊びに来た友人からも「うらやましい」という声を多くもらうという。

