「フリーになった2019年当初は、ライター仕事だけで月50万ぐらいは稼いでいましたが、今は半分ほどになってしまった。最近は『タイミー』などのスキマバイトで働いているほか、派遣のアルバイトも探しているところです。ただ、内勤バイトは倍率が高く、週5日入れないとなかなか受からないのが現実です」
バイト探しも一苦労でお金を切り詰めるゆえ、飲み会に行く回数も減った。
「誰とも会話しない週がザラにあるので、アルバイトでのコミュニケーションは貴重。そういう意味でもスキマバイトは気分転換になっているとは思います」
夢は「NHKの朝ドラを書くこと」
瀬戸さんには壮大な目標がある。それはNHKの連続テレビ小説、いわゆる「朝ドラ」の脚本を書くことだ。
「朝ドラはずっと見てきて一番親しみがあるし、視聴率もトップ。万人に刺さる作品が書きたいんです」
瀬戸さんの言葉には熱がこもっていた。現在でも多くの国民が毎朝の楽しみにしている朝ドラは、脚本家にとっても一つの到達点と言える。一部のコアなファンだけでなく、老若男女問わず日本中の人に届く作品を作りたいという思いは、テレビっ子だった瀬戸さんにとって自然な感情なのだろう。
そして、その思いの根底には、地元・富山で暮らす家族への強い思いがある。
「地元の両親や親戚が脚本家の活動を応援してくれているし、心配もすごくしている。どうにか恩返しがしたいんです」
小学校時代、周囲から浮いていた自分を温かく見守ってくれた両親。40代を迎えても夢を追い続ける自分を否定することなく応援してくれている。息子が手がけた作品が毎朝テレビから流れてくることほど、うれしい親孝行はないはずだ。瀬戸さんはすでに、その朝ドラの構想を頭の中に描いている。
「最初の舞台は地元である富山。東京でプロ野球の実況アナウンサーを夢見る女性の話を書きたいと思っています」
かつてプロ野球中継が好きでマスコミを志した自身の原体験と生まれ育った富山の風景。それらを掛け合わせた物語は、きっと瀬戸さんにしか書けない作品になるだろう。地方から上京し、挫折を味わいながらも夢を追い続ける主人公の姿は、彼自身の人生とも重なる部分が多いはずだ。
現在40歳。人生の折り返し地点とも言える年齢で、瀬戸さんはいまだに不安定な生活を送りながら夢を追っている。もしタイムマシンがあって、20代の頃の自分に声をかけられるとしたら、何と伝えるのだろうか。

