「『もっと早く本気になっておけ』と言いたいですね。出版社に入った頃は、ただ目の前の仕事をこなして、安定した生活を手に入れることしか考えていなかった。ドラマの面白さに気づいて、脚本を学び始めたのが20代後半。もしもっと早く、小学生の頃の創作の楽しさを思い出して本気で脚本に向き合っていれば、今頃は違う景色が見えていたかもしれない」
夢を追い続けることは、決して美しいことばかりではない。経済的な不安、周囲との比較、将来への焦り。それらに押し潰されそうになる夜も数え切れないほどあったはずだ。それでも瀬戸さんは、ペンを置こうとはしない。
「周りからは40歳でフリーターみたいな生活をしていて『いい加減諦めろよ』と言われることもあります。でも、30代後半で大賞を獲ったことで完全に夢を諦められなくなった。夢の追い風って人生においては逆風。風に乗るしかないんです。
とはいえ、正直言って40代で一般企業の正社員になることも、それはそれで難しいと思うんですよ。内勤バイトも受からないぐらいだし。だったら、月30万ぐらい稼ぎながら好きなことをやったほうがいいんじゃないかと思うんです。
いえ……これは強がりです。本当はもう自分でもどうしたらいいかわからない。目の前のやるべきことをやっているだけ」
今回の教訓
そんなわけで、6畳一間のアパートで今日も瀬戸さんはパソコンに向かう。
……なお、ネタバラシが遅れたが、瀬戸さんとは筆者のことである。
取材形式で、自分の話を書いた。理由は、担当編集者の提案。「夢追いフリーターの話を書きたい」と相談したところ、「瀬戸さん自身が夢追いフリーターなんですし、まずは自分のことを書くのがいいのでは?」と言われたのだ。
確かに、まずは自分で自分の恥をさらさないと示しがつかない。
ということで一風変わった構成になったものの、今後、連載に登場してくれる人のためにも、赤裸々な思いを書いたつもりだ。
いつまで、この生活を続けるのか。もはや自分自身にもわからない。自分にできるのは、五里霧中の中でももがき続けることだけなのだと思う。

