INDEX
「うちはちゃんと有名な塾に入れているから、大丈夫」
そう信じて月数万円を塾に払い続ける家庭は少なくありません。しかし同じ教室で同じ授業を受けているのに、伸びる子と伸び悩む子の差は残酷に開いていく。なぜ差がつくのか。
今回はその謎を、東大と京大に合格した2人の現役大学生の肉声からたどってみます。塾で"勝った側"と"負けた側"、両方を経験した彼らの言葉から見えてきたのは、塾という装置が静かに奪っていく、ある能力でした。
「自分だけわからない」トラウマで中学受験を断念
最初に話を聞かせてくれたのは、京都大学文学部3年のMさん。埼玉県の出身で、結果的に中学受験はしていません。人生で唯一「中学受験体験」をしたのが、小学4年生の夏期講習だったといいます。
「今思えば、人生初の"できない側"の経験でした」
そう前置きして、Mさんは当時の教室の風景を話してくれました。
「授業に参加した初日から三角形の面積の出し方がいきなり始まったんですよ。基礎がない私には、先生が何を言っているのかすらわからない。周りの子は『はい!』『わかる!』みたいに反応しているのに、私だけ最初から最後までただ時間が過ぎるのを待っているだけでした」

