もちろん、すべての会社が同じ形を目指す必要はありません。「課長職や部長職をなくせば会社が変わる」という単純な話でもありません。
大事なのは「管理職は何をする存在なのか」を問い直すことです。
これからの管理職に求められるのは、「管理すること」ではなく、「人を支援し、人と人をつなぎ、挑戦しやすい環境をつくる」ことです。
「人を動かす人ではなく、人が動きやすい状態をつくる人」と管理職を定義し直せる会社は、強いし、「変われる会社」だと私は思います。
「人と人の関係性」に投資する
人的資本というと、多くの企業は研修や評価制度を思い浮かべます。
もちろん、それも重要ですが、カクイチの変革を見ていて私が感じるのは、本当に投資すべき対象は制度だけではないということです。大事なのは「人と人との関係性」です。
カクイチでは、成果が出た部署に対して、チームで食事をするための費用を支給する制度があります。
個人への報酬ではありません。「みんなで話す時間」をつくるための投資です。
また、日々の感謝も、部署横断のプロジェクトも、すべて「人と人とのつながり」を強くするために設計されています。
私は長年、同社の取り組みを見てきましたが、同社が変わったきっかけは「デジタルツールを導入したこと」そのものよりも、その手段をうまく使うことで「社員同士の関係性」を変えたところにあると考えています。人と人との距離が縮まり、それに合わせて組織の仕組みまで変わっていったのです。
私は、多くの企業を見てきましたが、「変われる会社」には共通点があります。
それは、新しい制度を増やすことではなく、人が自然に助け合い、挑戦し、学び合える関係性をつくっていることです。
創業140年という歴史は、変革の障害にはなりません。
本当に会社を変えるのは、制度でも、DXでもありません。
人と人、人と組織との関係性なのです。

