旅はたまにしか行けません。でも、社会の入り口は、もっと近いところにもあります。それはたとえば、家のすぐそばのスーパーでもいい、ということを体現しているのがこの本です。
「スーパーマーケットは観光地である」――ちょっと変わったタイトルですが、読んでみると納得します。著者の下村英理さんは、日本一周を3回達成した現役東大生。節約のために立ち寄った旅先のスーパーで、「ここにこそ本当の名物がある」と気づいたことが本書の出発点だそうです。
地方のスーパーに行くと、その土地ならではの食材や調味料が並んでいます。高知では「ぶしゅかん」という柑橘がある。長野には「おやき」が普通に売っている。沖縄のスーパーの豚肉コーナーは、本土とはまるで違う品揃え――駅や空港の売店では出会えない、ご当地の文化と歴史がそこには詰まっています。
この本を読むと、普段の買い物が「社会科見学」に変わります。
「このお米、どこの県で作られているのかな」「なんでこの野菜は冬しか売ってないんだろう」――そんな疑問を持てる子は、教科書を開いたときに「あ、知ってる」となる。日常の解像度が上がると、社会科の理解度も自然と上がるのです。
週末の買い物のとき、この本を読んだ子どもと一緒にスーパーを回ってみてください。「これ、どこ産?」と聞いてみるだけで、立派な社会の勉強になります。


