この取引が注目された理由は、笠佐島の立地でした。島から米軍岩国基地までは約20km、広島県呉市にある海上自衛隊呉基地まで約50km。船を使えば岩国基地は約1時間、呉基地まで1時間半程度でアクセスできます。そんな場所に中国人が土地を購入していたのでは、中国との有事の際に、危険をともなうのではないかという懸念が生じたのでした。
私もテレビ局のワイドショーに呼ばれ見解を問われましたが、売買自体は違法ではありません。日本の不動産は、外国人であっても自由に売買できます。また、2022年に施行された重要土地等調査法で定められる注視区域や特別注視区域にも含まれていない以上、取引についてコメントのしようがなく困惑しました。重要施設周辺での注視区域はせいぜい周囲1kmであり、島のどの場所も対象とはならないからです。
ただ常任コメンテーターは、これが日本の危機であり中国人による土地取得は禁止すべきだとの主張を繰り返し、開発を停止するように国や自治体は働きかけるべきだとしました。日本人ファーストを掲げる参政党も国会でこの問題を取り上げ、外国人の不動産購入が日本の安全保障を脅かしているとの主張を、質問主意書によって政府に投げかけています(2025年8月5日)。
現状、島内では町道に新たに電柱が敷設され、計画地内に重機が運び込まれていますが、工事が始まっている気配はありません。そのことがさらにさまざまな臆測を呼ぶことになっています。
同様の動きは広島市沖の離島でも起こっていますが、現状ではあくまでも民間同士の取引ということで国や自治体の関与は期待できず、笠佐島では「笠佐島を守る会」といった同志の組織による土地の買い戻しなどの動きをしているにすぎません。
沖縄の無人島を「半分」買った中国人女性、ネットで大炎上
また2023年には、沖縄本島の北西部・伊是名島の南に浮かぶ屋那覇島という無人島を買ったと称する当時34歳の中国人女性による動画投稿が、ネット上で大炎上する騒ぎがありました。土地は那覇市内にある不動産業者が所有していましたが、島の面積のほぼ半分におよぶ土地を中国人に売却したことになります。実際に購入したのは女性本人ではなく、中国のビジネスコンサル会社を通じて彼女の親族が経営する東京都内の不動産業や金融業を営む会社でしたが、この会社では将来的にリゾート開発を行なう計画であるとされます。

