「特別な日の食事といえば?」
いわき市民にそう尋ねれば、多くの人が「メヒコ」と答えるだろう。
家族の誕生日、お盆や年末年始の帰省、祖父母との食事会、進学や就職のお祝い。特別な日の記憶をたどると、そこにはいつもメヒコがある。
フラミンゴを眺めながら、カニピラフを味わう
福島県いわき市に本店を構えるレストランチェーン「メヒコ」。
店内へ足を踏み入れると、シャンデリアの灯りが照らす落ち着いた空間が広がる。黒を基調とした店内の奥で、ひときわ目を引くのは鮮やかなピンクだ。ガラス越しには約30羽のフラミンゴが群れをなし、ときおり「グェグェ」と鳴き声を響かせていた。
名物は創業以来の看板メニュー「伝統のカニピラフ」。メヒコでは、フラミンゴを眺めながら、カニピラフを味わうことができる。かなり不思議な組み合わせである。
しかし、いわきで育った筆者にとってはごく当たり前の光景だ。誕生日を祝ってもらった子が親となり、今度は自分の子どもを連れて訪れる。そんな親子三世代の光景も珍しくなく、筆者もその例に漏れない。
「当たり前じゃないのかもしれない……」
そう気づいたのは、大人になって東京の友人を連れて訪れた時。
「なんでフラミンゴがいるの?」「何、この店〜!」と驚く姿を見て、驚いた。昨年は、福岡に住む友人が「メヒコに行ってみたい!」という理由だけで、わざわざいわきまで遊びに来てくれたほどだ。

