カニと格闘の末、手も汚れるが、そんな時はテーブルに用意されたフィンガーボウルで指先をさっと洗う。
子どものころは、この一連の所作に憧れたものだ。かっこいい大人の仲間入りをしたような気持ちになり、特別な日の高揚感をいっそう高めてくれた。
タイパ重視の現代において、カニと格闘しながら身をほぐすという時間は、だいぶ非効率。それでも、この手間があるからこそ、カニピラフは思い出に残る体験になるのかもしれない。
創業当時から変わらぬ製法のカニピラフ
はやる気持ちを抑えながら、ようやくカニの身をほぐし終えた。
カニの身がたっぷりと乗ったお皿を見るだけで、なんともいえない達成感だ。
さっそく、スプーンですくい口へ運ぶ。カニの香りがふわりと鼻先をかすめ、旨みが口いっぱいに広がる。ご飯一粒一粒にもカニの出汁がしっかりと染み込んでいて、噛むほどに味わい深い。
小林さんによると、カニピラフは創業当時から変わらぬ製法で作られているそう。カニの旨みをご飯にしっかりと吸わせながら炊き上げるため、一口ごとにカニの風味が広がる。バターの香りが重なって、なんともいえないおいしさだ。気づけば最後の一口まで夢中で頬張っていた。

