当時、旧態依然としていたイギリス国鉄はマイカーの普及などによって利用者数が低迷していたが、HSTによる「インターシティ125」サービスの開始によって息を吹き返すことになった。HSTはまさに、赤字に瀕していたイギリス国鉄の救世主だった。ヨーロッパでは都市間を結ぶ特急列車に「インターシティ」の名称が使われているが、その発祥は1950年代のイギリスで、
一方、当初は高速列車の本命であったAPTは、営業運転を開始はしたものの量産型の開発は断念され、1986年には運行から撤退。プロジェクトは終了となった。
イギリスでは1990年代半ばに国鉄が民営化され、全国に多数の運行会社が登場したが、HSTは各社で幅広く使用され、全土でさまざまなカラーリングでの活躍を見ることができた。
「日立製」新型登場で引退進む
しかし、30年近くの活躍を経た21世紀に入ると、HSTにも世代交代の波が押し寄せることになった。引導を渡すことになったのは、日立製の高速列車だ。
2005年、イギリス運輸省は大規模な車両置き換え計画「インターシティ・エクスプレス・プログラム(IEP)」を立ち上げ、HSTなどの代替車両の入札を開始。2012年、日立製作所やイギリスの投資会社などが設立した合弁企業、アジリティ・トレインズが正式に受注し、新型車両の製造が始まった。
日立製の高速車両、800系(クラス800)シリーズには、いくつもの派生タイプ(800~803系、805系など)が存在するが、ベースとなる800系の特徴は電車ながらエンジンも搭載し、電化区間と非電化区間を直通できる「バイモード車両」であることだ。電化区間でもディーゼルエンジンで走らなければならなかったHSTに比べて、大幅な燃料削減と環境負荷低減となる。

