ほかにも、西郷時代に消えた校則として「自分のクラス以外は入ってはいけない」というものもあった。教員が生徒を管理するための単位がクラスであり、ほかのクラスの生徒が自由に入り込んでくれば管理しにくい、ということらしい。
それも生徒に説明して理解してもらえることではないので、そんな決まりを西郷氏はやめた。今はそれが復活している。「他学年のフロアにも基本的に行ってはいけないと聞いています」と、現役生の保護者から聞いた。
復活しているが、明文化はされていないのだ。だから、校則もないことになっている。「なぜ、そういうルールがあるのか」は、筆者が聞く限りでは生徒も保護者もわからないようだ。
さらに、西郷時代を知っている保護者からは次のような話を聞いた。たまたま学校に用事があって訪ねたときに目にした光景で、「西郷時代にはなかった」と驚いていた。
「職員室に入るときに生徒が大きな声で、『○年○組の○○です。○○先生に○○の用事があって来ました』と叫んでいる。それで職員室から許可の声がかかったら入っていきました。そういうルールになっているらしいんです」
西郷氏が校長になって、職員室への生徒の出入りは自由になっていた。許可をもらわなければ入れない、ということではなかったのだ。それについては、先の元桜丘中学教員が説明する。
「西郷さんがいるときから、そのことは教職員の中では問題になっていました。とくに異動したばかりの先生は、『前任校でこんなことはなかった。生徒が自由に入ってくると仕事ができない』と不満を言っていました。前からいる先生たちからすれば『何言ってるの』という感じでしたけどね」
出入り自由だった校長室もフツーの校長室に
さらに西郷時代は、一般的な学校では生徒が入りにくい場所でしかない校長室に、生徒が自由に入ることができた。いつもドアは開けられたままで、校長室でおしゃべりをしたりギターを弾いたりする生徒もいた。
筆者が校長室で西郷氏に話を聞いているときにも、1人の男子生徒が入ってきた。それに西郷氏が「ちょっとお客さんで、ごめんね」と応じると、その生徒はちょっと困った顔になった。

