2つの潮流——「超ハイエンド」と「超ローエンド」
インターネットという茫漠たる宇宙のような空間で、いかにして安全にお金を支払い、売り買いを成立させるのか——この「決済」は、インターネット史上最大級ともいえる難題中の難題でした。そこにNetscape、Microsoft、PayPalといった幾多のプレーヤーが挑み、興亡が交錯する「大河ドラマ」とも呼ぶべき歴史が繰り広げられます。その結果、今日の私たちがネットで安心して物を買ったり売ったりできる基盤が確立されました。
そこから2010年代に入ると、本格的なスマホ時代が到来します。それとともに、スマホ決済のニーズが高まり、さまざまなキャッシュレス決済サービスが登場。市場は群雄割拠の様相を呈していきます。「キャッシュレス戦国時代」の幕開けです。
グローバルの視点で概観すると、この2010年代のキャッシュレス決済の市場では「超ハイエンド」と「超ローエンド」という、対照的な2つの潮流が生まれました。
前者の「超ハイエンド」な決済技術の代表は、ソニーが開発した非接触ICカード技術の「FeliCa」です。スマホ端末の中に非接触の決済手段を埋め込む技術で、皆さんには「おサイフケータイ」という名称のほうでおなじみですね。
この技術は別名「クライアントサイド」と呼ばれるもので、お金をチャージすると、その金額分のデータがスマホに内蔵されたICチップに直接書き込まれます。そして支払い時に改札やレジの読み取り機にタッチすると、端末内のICチップから直接お金のデータが移動します。
つまり、スマホそのものが「電子的な財布」としてお金の価値を保持しています。この技術が「Suica」「Edy」などに採用され、日本独自の極めて高度で複雑な技術をベースにした電子マネーとして普及していきます。


