驚いたといえば、ハンドリングが優れていたことも強く印象に残った。じつは、フラット感とハンドリングは互いに深く関係していて、フラット感が良好だとハンドリングのレスポンスがシャープになり、軽快な操縦性を味わえることが多くなる。EX60がまさにその好例で、ブレーキングでこそごく浅いノーズダイブ(クルマの姿勢が前下がりになること)が起きるものの、これは荷重移動といってタイヤのグリップ力を引き出すのに必要な動きであって、決してコーナリングの邪魔になるようなものではない。
一方でコーナリング中に遠心力でボディが外側に傾くロールについては、あれほどソフトだった乗り心地がウソのようにサスペンションがこれを抑え込んでくれる。おかげでステアリングを切り込むと、EX60はすぐにノーズの向きを変えてコーナリングを始める。つまり、ここでも乗り心地とハンドリングが高い次元で両立されていたのだ。
プレミアムブランド回帰への布石となるか
じつは、重いバッテリーを床下に積むEVは総じて重心が低く、ハンドリングと乗り心地のバランスを改善するうえで有利なのだが、EX60のシャシー性能はドイツ・プレミアムブランド製のEVと比べても引けを取らないばかりか、むしろ上まわっているように思えたほど。とりわけ、これだけ乗り心地重視のセッティングはライバルメーカーには見られないもので、EX60の強力なセリングポイントとなりそうだ。
前述したストックホルムでの取材で、サムエルソンCEOはこうも語っていた。「EX60は、BMWやメルセデス・ベンツといった競合メーカーからベンチマークとして捉えられることでしょう」。試乗を終えて、彼の言葉に嘘はないことに気づいた。

