日本の技術を活用して建設され「台湾新幹線」とも呼ばれる台湾の高速鉄道の利用が伸びている。高速鉄道を運営する台湾高速鉄路(高鉄)によれば、2025年度の1日当たり利用者数は前年度比4.8%増の22.4万人。開業時の2007年と比較すれば、利用者数は実に5倍に増えた。
2024年度の1日当たり利用者数は21.4万人で、同年度における山陽新幹線の1日当たり利用者である20.2万人を上回っている。
旅客増を支えているのが好調な台湾経済であるのは言うまでもない。世界的なAIブームで、AIを動かす半導体やサーバーの注文が世界中から台湾に殺到し、ビジネスマンたちが高速鉄道で台湾を北へ南へと行き交う。また、企業の好業績が家計収入の増加をもたらし、高速鉄道を使った旅行やレジャー需要の高まりも後押しする。そんな台湾における経済と高速鉄道の関係を直接確かめるために、今年2月に台湾を訪れた。
「サイエンスパーク」が各地に
迎曦湖のほとりに設置された金色に輝く巨大な龍のオブジェは、訪れた人たちがその前で自撮りをする人気の撮影スポットだ。遠くから重低音が聞こえてきた。日本でも聞き慣れた新幹線の音だ。湖の向こうに高速鉄道の列車が通過するのが見えた。ここは台南市にある巨大な工業団地、南部サイエンスパーク(科学園)である。高速鉄道はその敷地内を貫いて走っている。
工業団地といっても四角い工場が整然と建ち並んでいるわけではない。TSMC(台湾積体電路製造)をはじめとした多くのハイテク企業や大学、研究機関が拠点を構え、各々が建物のデザインを競い合うその光景はまるで未来都市だ。
