日本では、品川―名古屋―新大阪を結ぶリニア中央新幹線の計画が進んでいる。JR東海が現在建設中の品川―名古屋間では、神奈川県相模原市、山梨県甲府市、長野県飯田市、岐阜県中津川市に中間駅が設置される予定だ。高鉄新竹駅前は高鉄が開発権を返上し政府による開発が進んでいるが、リニア中間駅の周辺開発はどのように行われるのだろうか。
JR東海は「中間駅については、鉄道の駅は鉄道事業者である当社の負担により建設し、駅周辺は自治体で整備し、全体として中間駅が中央新幹線の効果を幅広く広域化できるようにしていく、という役割分担としている」と説明する。つまり、鉄道や駅そのものは民間が作り、駅周辺の開発は自治体が担うという座組みだ。
リニア中間駅を抱える自治体は、例えば、神奈川では「ロボット産業特区」を活用した先端技術の拠点作りを行うとともに、リニア中間駅の交通利便性を生かした移住促進を目指している。山梨は高速道路網と結ぶネットワーク整備を指向している。また、長野は「東京一極集中から多極分散型国家の実証モデルとなる都市圏域を先行形成する」といい、岐阜は産業振興や観光振興、「森のまちづくり」などの実現に取り組みたいとする。このようにそれぞれの自治体が地域の特色を生かした開発ビジョンを掲げている。
JR東海は2023年11月には神奈川県および相模原市と、2026年1月に中津川市と連携協定を締結しており、自治体による中間駅周辺の開発に協力する姿勢を打ち出している。
求められる「実行力」への変革
国は中間駅に関して、2024年に「リニア開業に伴う新たな圏域形成に関する関係府省等会議」を開催。そこでは4県が一体感を持って具体的な取り組みを進めることを求めており、国は、予算要求や規制緩和、法制度の拡充についてサポートする姿勢を示している。この会議には神奈川、山梨、長野、岐阜の各県とともにJR東海も構成員として参加している。つまり、リニア中間駅の周辺開発は国、自治体、JR東海の3者が協議を重ねながら開発を推進しているのだ。
かつての新横浜、そして現在の新竹のように、高速鉄道には駅周辺開発のビジョンを現実のものとする力がある。それが時速500kmで走行するリニアであれば、その力は従来の高速鉄道の何倍にもなるはずだ。リニア開業による成果を確実に得るためには、検討と調整に時間を費やす現状を脱し、構想を現実に落とし込む「実行力」へのギアチェンジが欠かせない。
