中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)が世界の先端を走る次世代半導体の開発に向けて動き始めた。一時はアメリカによる半導体技術輸出規制によって高微細度の半導体調達が困難になったファーウェイだが、このほど独自の新理論を発表、これに基づく新発想の半導体チップの開発を進める。
ファーウェイの取締役兼半導体事業部総裁である何庭波氏は5月25日、上海で開催されたISCAS(回路システム国際シンポジウム)2026で講演し、新たな半導体設計の基本理論として、タウ(ギリシャ文字のτ)の法則を発表。この理論に基づいて2031年までに回路線幅1.4ナノメートル相当の半導体と、トランジスター密度において同等の半導体を開発する計画を明らかにした。
1.4ナノ級の半導体は世界最大の半導体受託製造企業(ファウンドリー)、台湾積体電路製造(TSMC)が他社に先駆けて28年に量産開始を目指している、現状では世界最先端の半導体で、ファーウェイはこれに並ぶ半導体開発を目標に掲げた格好だ。
微細度より処理時間に主眼
この発表を受け、5月25日には華虹半導体や中芯国際集成電路製造(SMIC)などの中国の半導体関連銘柄の株価が急騰した。
タウの法則は「ムーアの法則」(半導体のトランジスターの集積度は2年で2倍になるという経験則をもとに、チップの情報処理能力はそれに比例して上がるという理論)に代わる理論といえる。トランジスターの集積度や回路の微細度を上げるという発想ではなく、信号伝送にかかる「時間」を主要指標(タウ=τ)として、体系的に短縮しようという理論だ。
