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また、豪傑君に対しては、日本の伝統だけでは世界の進展に対応できず、独りよがりとなる、だから多くの国と平和外交を積み重ね、信頼を得ることが大事である、と。
そしてこう述べる。
「要するに外交上の良策とは、世界のどの国とも平和友好関係を深め、万やむをえない場合になっても、あくまで防衛戦略をとり、遠く軍隊を出征させる労苦や費用を避けて、人民の肩の荷を軽くしてやるよう尽力すること、これです」(前掲書、106ページ)
南海先生 vs 豪傑君の対話
とりわけ当時問題になっていた中国問題についてもこう述べるのだ。
「たとえ中国などは、その風俗、風習から言っても、その文物、品格からいっても、また地理的に言っても、アジアの小国としてはいつもこれと友好関係をあつく、強くすべきで、たがいに恨みを押し付けあうようなこともないよう、努力すべきです。我が国がいよいよ特産物を増し、物資を豊かにするならば、国土広く、人民のいっぱいいる中国こそ、われわれの大きな市場であって、尽きることなく湧く利益の源泉です。この点を考えずに、ただ一時的に国威発揚などという考えにとりつかれて、ささいな言葉の行き違いを口実にして、むやみに争いをあおりたてるのは、ぼくから見れば、まったくとんでもないゆき方です」(前掲書、106ページ)
南海先生の言葉が中江兆民の主張だとすれば、中江兆民は西欧の精神に安易に従い、非武装中立論をそのまま展開するのは危険だが、だからといって、旧套墨守(きゅうとうぼくしゅ、古くからの形式や慣習、ありきたりの方法)、軍備拡張を進め、近隣諸国に攻め入り、国威発揚を行うことも危険である、と述べているのだ。
ここで中国があげられ、その国との平和外交がいかに日本にとってプラスになるのかが書かれているが、それは、アジアの衰退する強国(なぜか中国という名前が伏せられているが)のことについて、豪傑君が以下のように述べたのに対する答えがこれである。
「ところが天の恵み、目の前にむっくりと大きな国があって、土地は肥え、しかも兵隊は弱いときては、これ以上の幸運がまたとありましょうか」(前掲書、72~73ページ)
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