2000年前後のアメリカでは、「ヘリコプター・ペアレント」という言葉が流行しました。子どもが困難やトラブルに直面した場合には、急いで駆けつけて子どもを守るという考え方ですが、今はこのようなアプローチは否定されつつあります。
反対に、近年の教育では、あえて困難を経験させることで、子どもの成長を促す考え方が注目されています。これは単なる忍耐の訓練ではなく、心理学や教育学の知見に基づき、子どもが自ら問題を解決する力や回復力(レジリエンス)を育むことを目的としています。
子どもが挑戦と失敗を繰り返すなかで、「できなかったことができるようになる」という実感を得ることが、長期的な学習意欲を高めます。また、この方法論は、教科の学習だけでなく、人間関係や組織における行動など、将来を生き抜く力を育てることにも応用できると言われています。
「早熟さ」を成長に結びつける
2点目の「早熟な子どもをどうするか」というのは、極めて現代的な問題です。
現代の子どもは、ネットの発達によって、10歳前後から猛烈な情報の洪水に襲われながら育ちます。もちろん個人差はあるわけですが、全体として子どもはどんどん早熟な傾向になっていきます。
親や教師としては、未熟な心身を持つうちは、できるだけ情報洪水を遮断して子どもを守ろうとしており、たとえば15~16歳未満のSNS禁止などを打ち出している国があるのはこのためです。
ですが、思春期に入った子どもたちについては、年齢相応の枠にはめるのではなく、「早熟へと向かう爆発的な力を成長に結びつける」というアプローチが、世界では一般的になっています。
日本の場合は、今でも「年齢相応」という考え方、伝統的な「枠」が、色濃く残っています。一方で、思春期の早期化は日本でも進んでおり、最も難しい学年は「小学校5年生」だと言われてもいます。
