ただ、依然として頭痛はひどいままだった。そこで、「病院で測った血圧が普段より高かったこともあり、もしかして以前聞いたことのある『性交時頭痛』ではないかと思って、夫との営み中だったことを医師に話したんです」と酒井さん。
だが、医師には「は?」という感じで聞き流されてしまう。「……あれは本当に恥ずかしかった。言わなければよかった」。
その後、何事もなかったように医師から「家に鎮痛薬があるかどうか」を尋ねられ、「市販の鎮痛薬ならあります」と答えたところ、「それを飲んでおいてください」と言われて、診察は終了した。
鎮痛薬が効かない痛みの正体
受診後、市販の鎮痛薬を飲みながら2週間ほどを過ごしたが、酒井さんの頭痛はいっこうに治らない。仕事にも支障をきたすようになっていた。
そんなとき、酒井さんがたまたま街中で見かけたのが、「頭痛」に関する啓発ポスターだった。そこに書かれているクリニックの名前を見て、「あれ、ここで相談できるんだ」と、すぐに受診。
そこで「片頭痛」と診断された。
片頭痛は、頭の片側もしくは両側がズキズキと脈打つように痛む慢性的な頭痛で、30〜40代の女性に多い。食欲がなくなる、吐き気がする、匂いや音に敏感になるなどの症状を伴うのが特徴だ。また、20〜30%の患者は片頭痛の発作が起こる前に「閃輝暗点(せんきあんてん)」といって、目の前にギザギザとした光の輪のようなものが見えることもある。
酒井さん本人は、片頭痛と診断されたことを「意外だった」と話す。
「というのも、確かに決まって主に右の後頭部が、ガンガンと重低音が鳴っているような感じで痛むんですけど、その前に視界にギザギザした光が現れたこともないし、吐き気もないし、匂いや音に過敏になることもなかったんです」
