窪田:皆既日食など天文ファンとしてのお話をうかがってきましたが、何でも現在は、バナナの普及などにも打ち込んでいらっしゃるとか。
森田:1974年に沖縄県の石垣島を訪ねたとき、「島バナナ」という小さなバナナに出合いました。台湾バナナよりもっと小さく、10cmぐらいのバナナなのですが、これがとてもうまかったんです。それ以来、夏になると知り合いの農家さんに送ってもらっては食べていました。
1996年に未来の気象予報士を育てる「森田塾」を立ち上げたのですが、近年のとある塾生が「自分はバナナが好きじゃない」と言うのですね。そこでこの島バナナを食べさせてみたら、「これはおいしい」と喜んでくれました。そうだよねと嬉しい気持ちになった反面、なぜこんなにおいしいバナナが流行らないのだろうと気になりました。
そこで島バナナについて調べていくうちに、沖縄県立農業大学の高橋健先生という方にたどり着きました。高橋先生にお話を聞いてみると、実は島バナナというのは特定の品種ではなく、沖縄で採れるものはみんな島バナナだと言うんですね。
世界中で売られているバナナはほとんど同一種類
窪田:そうなのですか。特徴的な小ささもあって、沖縄独自の品種なのかと思いましたが。
森田:ところが、分類も何も、島バナナについての科学的な研究はほとんどされていないと言うのです。そこでまず世界のバナナがどんな状況にあるかを調べてみたら、いろいろなことが見えてきました。
簡単に言うと、バナナというのはものすごく「成功した果物」です。日本のスーパーマーケットを始め、世界中で売られているバナナは、8〜9割が「キャベンディッシュ」という種類です。「高原バナナ」などとブランド化されているものもありますが、これもキャベンディッシュです。
だから、多少の甘味や水分量の違いがあっても、食べるとみんな同じ味がします。なぜかというと、もはやキャベンディッシュは工業製品のようだからです。そして、それが安さの理由でもあります。

