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「賃上げしたいのはやまやまだが、原資がない」。一度はそう思ったことがある経営者は多いはずです。2026年度に賃金改善を見込む企業は6割を超える一方、小規模企業では「賃上げしない」が約4割にのぼる調査もあります。
この差は、経営者の意志の差ではありません。賃上げを続けられる会社と、そうでない会社の、経営構造そのものの差です。
賃上げをめぐる議論は、ともすれば「すべき/すべきでない」の二択になりがちです。しかし本当に問われているのは、「賃上げを前提に、経営そのものをどう組み替えるか」のはずです。
本稿では、『社長が3ヶ月不在でも成長する会社の作り方』の著者である安東邦彦氏が"創業以来の最高益"を出した翌月にエース社員を失ったある中小企業の実話をもとに、「利益が出たら還元する」という後払い経営がなぜもう機能しないのか、そして賃上げし続けられる会社との違いはどこにあるのかを読み解きます。
年収80万円ダウンで入社した社員
ある業務システム開発会社での出来事です。埼玉県に本社を置く従業員32名のA社は、地元の中堅企業や医療機関を中心に、受注開発とシステム保守を手がける堅実な会社でした。
エンジニアのBさん(仮名・36歳)がA社に転職してきたのは、7年前のことです。前職は都内の中規模SIer。技術力は認められていましたが、大きな組織の歯車として動く日々に息苦しさを感じていました。
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【転職を決意】
