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社長「利益が出たタイミングで給料上げる」エース社員が"創業以来の最高益"の翌月、退職届を出した必然の理由

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社長は本心で「利益が出たら還元する」と言っていました(写真:life-shooting / PIXTA)
  • 安東 邦彦 ブレインマークス代表取締役
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第二に、転職市場の情報が完全にオープンになったこと。スマートフォンひとつで同業他社の年収相場がわかる時代、自社だけが「後払い」で走ることは、もはや許されません。

第三に、「後払い」は社員の信用残高を確実に削っていく仕組みだからです。「来年こそ」と言われるたびに、社員の中にある会社への信頼は静かにすり減っていきます。そして多くの場合、最初に限界を迎えるのは、不満を口にせず、最後まで会社を信じようとしていた人間。つまり、Bさんのような社員です。

「利益が出たら還元する」は、かつて美徳でした。しかし今は、最も会社を信じてくれた人から順に失っていく、最も危険な経営スタイルに変わりつつあるのです。

払えるかではなく「払える構造か」

では、賃上げを続けられる会社と、続けられない会社の違いはどこにあるのか。経営者の意志の強さではありません。経営の「構造」の違いです。賃上げできない会社には、例外なく共通する2つの欠陥があります。

賃上げできない会社の共通点①

独自性がなく、価格を上げる根拠を持たない競合と似たようなサービス、似たような提案。顧客からすれば「御社でなくてもいい」状態です。この状態で値上げを切り出せば、待っているのは失注リスク。結果、「今回は据え置きで……」と飲み込み、売上は伸びても粗利率はじわじわ削られていきます。

Bさんの会社もそうでした。主要クライアントの保守案件は5年前と同じ単価のまま。外注費もサーバー費用も上がり続けているのに、見積書の金額は一円も変わっていません。「長いお付き合いですから」という言葉のもとで、じわじわと自社の体力が削られていたのです。

賃上げできない会社の共通点②

エース社員ほど「請求できない時間」に飲み込まれている中小企業の生産性問題の正体は、社員のサボりではありません。「エース社員ほど、誰にも請求できない仕事に時間を奪われている」。この一点に尽きます。

実際のBさんの1日を見てみましょう。彼の技術者単価は、本来7000円で請求できる水準です。

後輩からの仕様確認に1時間半。退職した前任者しか知らないシステムの調査に2時間。クライアントからの「前回、何を決めましたっけ」への対応に1時間。自分の担当プロジェクトの設計に充てられたのは、残り3時間だけでした。

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【「忙しいのに儲からない」の正体】

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