今回、そんな人間の本質に進化心理学で迫り、左派と右派、女性と男性、集団主義と個人主義など、ヒトとその社会を「つながり」と「自主性」という2つの欲求の綱引きで説明するとともに、現代人の不幸の原因はこの2つの欲求のバランスの崩れにあると指摘する『誰かと一緒にいたいけど、1人になりたい:つながりと自主性の進化心理学』より、一部抜粋・編集のうえ、お届けする。
私たちの祖先の集団主義的な暮らし
狩猟採集民の生活を考えると、あらゆる人間社会がかつては非常に集団主義的だったことが明らかになる。
私たちの祖先は生き延びて繁栄するために、徹底的に依存し合ったので、相互のつながりはすべてに優先した。そして、そのつながりは、社会的責任と個人の好みが衝突したときにはほぼ毎回、前者を上位に置くことを要求した。
私たちの生存は、そのような責任を生み出して強制する文化規範に懸かっていた。全員での肉の共有は、その最たる例だった。
それにもかかわらず、つながりによる絶え間ない要求は、自主性を侵害することで私たちを消耗させる。相互の責任の濃密なネットワークに織り込まれているときには、自分のやり方を貫くのは難しい。
必要に迫られて自主性よりもつながりが重視されるこの力関係から導かれた次の明確な推測は、世界中で裏づけられてきた。すなわち、文化が裕福になると、集団主義から個人主義へと徐々に移行するという推測だ。


