腰痛には、医師が画像で確認し、診断できるものもある。椎間板の損傷、腫瘍、骨粗しょう症、骨折などだ。しかし腰痛の85%は「非特異的」とされ、検査しても原因が特定できず、どこから生じるのかわからない痛みだ。
ハーバード大学の科学者たちは、この非特異的腰痛の97%が、現代の生活様式によって生じているとみる。つまり、現代の閉じ込められた生活環境に原因があるということだ。
人類学者のダニエル・リーバーマンと会ったとき、彼はこのタイプの腰痛の多くがU字型のカーブとして現れると説明してくれた。
痛みを縦軸、活動量を横軸としたグラフを思い浮かべてほしい。そのグラフはU字型のカーブを描く。痛みが最も多いのは、活動量が最も少ない人たちと最も多い人たちだ。そして痛みが最も少ないのはU字の底にいる人びとで、活動量は中程度だ。
リーバーマンによると、「肉体的に過酷な仕事」をしている人たちとオフィスワーカーとでは、腰痛を経験する割合がほぼ同じであることが複数の研究から示されている。たとえば中国北部の農家では、数カ月のあいだに38%が腰痛を経験したが、中国のオフィスワーカーは33〜46%が腰痛を訴えていた。
一方、オーストラリアの研究では、さまざまな種類の身体活動を行っている人は、痛みを経験しにくいことが明らかになっている。
一日中同じ動作ばかりを繰り返すことの弊害
一見すると、活動量が多すぎることが悪いように思えるかもしれない。だが、ほかのデータを考慮すると、本当のところがわかる。「多すぎる」ことで起きる腰痛は、ほかの動きを差し置いて、ひとつの動作ばかりを延々と繰り返すことが原因のようだ。
「昔の人がやらなかったような、妙で不自然な動きが原因だと思われます」とリーバーマンは言う。「一日中アマゾンの配送箱を持ち上げ続ける、なんてことはありませんでしたから」。
活動量が少なすぎることも、「動かない」という奇妙で不自然な状態が生む点で、じつはかなり似通っている。座る、立つ、寝る――それだけで構成された生活になっているのだ。
「私たちはもともと、さまざまな動きを広くこなす万能型だったんです」とボーマンは言う。ところが現在、私たちはほとんどの動きを、機械や椅子、柔らかいベッドなどにアウトソースしている。


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