数十年にわたる研究によって、自己効力感にはわれわれを助けたり邪魔したりする力があることがわかってきた。
自らの自己効力感に関する認識は「中核的信念(マスタービリーフ)」であり、人生の重要な領域――たとえば感情の制御――で何に対処できるかに影響する。しかし、それが影響を及ぼす領域は感情だけに留まらない。
バンデューラの発見から約20年後、ある研究者グループが、約2万2000人を対象とした114件以上の研究を分析し、自己効力感がパフォーマンスに与える全体的な影響を評価した。結果はどうだったか? 自己効力感は、パフォーマンスを28パーセント向上させることがわかったのだ。
これは、フィードバックや行動修正といった、広く用いられているほかの確立された多くの介入と比べて大幅な向上である。
自己効力感はあらゆる事象を方向づける
それだけではない。自分自身の能力に関するこうした信念は、アルコール摂取量を適切に管理できるかどうかから、人間関係のトラブルをうまく乗り切れるか、病気や怪我からどれくらい早く回復できるかまで、あらゆる事象を方向づけるのだ。
こうしたマスタービリーフが根本的なものであるのは明らかであり、正しく理解することが重要だ。では、タイムマシンに飛び乗ってバンデューラの研究に参加したり、一流のコーチを雇ったりする以外に、自己効力感を高めるにはどんな方法があるのだろうか?
自分は実際に感情を制御できるのだと信じられるようになるには、どうすればいいのだろうか?
自己効力感を高めるためにヘビ使いになる必要はない(もちろん、一部の人には役立つだろうが)。自分自身について、また、感情をどれだけコントロールできるかについての信念は、たとえいま、それがどれほど根深いものに感じられても、変えることができる。
コントロールできないもの(自動的に引き起こされる感情)とコントロールできるもの(引き起こされた感情の軌道)について学ぶことが、自己効力感を高めるうえできわめて重要だ。
(翻訳:鬼澤忍)
