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スマホで「学力低下」は本当か? 情報メタボを脱する「真っ白な紙」と、AI時代に生き残る真の賢さとは【後編】

11分で読める
子どもたちに「真の賢さ」を授けるには、いったい、どのような教育が必要なのでしょうか(撮影:尾形文繁)
  • 平井 孝志 筑波大学大学院ビジネスサイエンス系教授
  • 西岡 壱誠 ドラゴン桜2編集担当

INDEX

何かについて「知る」「調べる」には、いまだかつてなくツールに恵まれている現代。
ところが皮肉なことに、日本の子どもたちの学力は低下し続けている。
便利なデジタルツールを駆使し、得られる情報が多ければ多いほど「よりよく学べる」とは、必ずしも言えない現実がある。
では、子どもたちに「真の賢さ」を授けるには、いったい、どのような教育が必要なのか。
人間の教師はどう取り組むべきか。生成AIは教育に取り入れるべきか。そして当の子どもたちは、いかに学んだらいいのか。
13歳からの図で考える問題解決』の著者・平井孝志氏と、偏差値35から2浪の末に思考法を改革して東大に合格し、『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく東大読書』などのベストセラーを多数出している西岡壱誠氏による対談の後編。
(前編はこちら

「suggest:示す」に×を付ける生徒たち

西岡:平井さんが、教科書を読んで覚える労力を減らすために、「図で考える」ということを早くから実践していたというお話、興味深かったです。

『13歳からの図で考える問題解決』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

平井:とにかく「勉強で楽をしたい。簡潔に済ませたい。そのために最初に一番重要な根幹をつかんで応用が利くようにしたい」という考えが強かったですね。

英単語も1つひとつ覚えていくのはしんどかったので、たとえば「uni」とついていたら「“1”っぽいな」とか、「pre」とついていたら「“前”っぽいな」という感じで、単語の構造から意味をイメージするようにして覚えていました。

西岡:英語の勉強でも「構造を理解すること」が先だったんですね。

平井:そうしているうちに多少は英文も読めるようになった。ただし、単語をすべてイメージで捉えていたので、英文を読んで全体的に言わんとしていることはわかっても「この英単語の意味は何か」と問われると、はっきりとは答えられないことに気づいたんです。

西岡:でも、それこそ本質的な勉強法ですよね。僕も、生徒たちには、イメージで英単語を理解して応用できるようになってもらいたいのですが、どうも彼らは「単語帳どおりに覚えなくてはいけない」と思い込んでいるようです。

単語の意味合いは、文章によって微妙に変わる。だから、ざっくりとしたイメージで理解しておいて、文脈の中で意味を捉えるということを習得してほしいのですが……。

平井:1つひとつ独立した知識として個別具体的に詰め込むだけで、相互のつながりや全体の流れで捉える視点がないということですか。それはたしかに悩みどころですね。

西岡:まさに。実際、よく英単語の小テストをして生徒同士で採点させるのですが、ほとんどの生徒が「単語帳に書かれているかどうか」でしか◯×を判断しません。たとえば「suggest=示す」という回答を×にした生徒がいました。なぜなら、単語帳には「suggest:提案する・持ちかける・提示する」と書かれていて、「示す」とは書かれていないから。

僕としては、「suggest」は「自分から相手に矢印が向いていて、何かを差し出している」というイメージなので「示す」も◯です。でも、そう伝えると「では単語帳に、“示す”と書き加えますね」なんて言い出す。

平井:そういうことじゃないんだけどな、と思ってしまいますよね(笑)。

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【情報が多すぎることの弊害】

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