中国は、国有持ち株会社の中国船舶集団を中心に規模を拡大。政府が14兆円に上る補助金で育ててきた。足元では中国勢だけで世界シェア5割を握る。
地経学研究所の土居健市主任研究員はこう指摘する。
「中国は大きな国で、ビジネスチャンスにいろいろな企業が参入して激しい競争が生まれ、生き残った企業が存在感を発揮する。国有企業が全体をカバーし、民営企業が稼げるところで技術を磨き、さらに細かいニッチを中小民営が取る。多層構造が中国造船業の強さを支えている」
中国の船価は日本より2割程度安い。日本の造船所は1〜2本のドックで建造するが、中国勢は5〜6本を備え、同時並行で建造するため効率がいい。資材費も人件費も日本より安い。日本船主協会の長澤仁志会長は「価格差が生じており、さらに開いていくと、グローバルな海運市場で戦っているわれわれとしては日本勢に発注することが難しくなる」と危惧する。
建造能力面でも、日本勢は内需すら賄えていない。日本船主の建造発注は年1200万総トン(24年)。対して国内建造量は908万総トン(同)で、発注の3割超が中国へ流れる。今治造船の檜垣社長は「日本の船主のリプレース(更新)需要にすら対応できていない」と危機感を口にする。
貿易の99%以上を海上輸送に頼る日本が、自国で船を造れなくなることは、何を意味するのか。
金子恭之国土交通相は「船主は自社の船の建造を外国に発注せざるをえなくなる。今はまだ外国製のほうが安いかもしれないが、国内に建造の素地がなくなれば、将来は相手の言い値に従うしかなくなる」と指摘する。
船主協会の長澤会長は、「現在最大2割程度高い海外勢との船価差が10%以下になれば、品質やアフターケアのよさを加味して日本製を選ぶ船主は多いはずだ。価格差がなくなれば間違いなく日本に発注する」と話す。
国策大転換の舞台裏
国は21年に海事産業強化法を成立させ、海運や造船の業界への支援を進めてきた。22年には経済安全保障推進法に基づき舶用機器を特定重要物資に指定した。以後、25年にかけて、「造船復興」が、経済安全保障の文脈で政治テーマとなっていく。ある政府関係者はこう明かす。




















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